20160602
elegante
それは優雅なひと時だった。時はゆらゆらと流れていたのに、いつの間にか時計は十時を指していた。陽が沈み、影の時針が夜の帳の中で見境を失うと、何も動くものはなく、時間もまた止まったように思える。皆んなはそれぞれの部屋に入り、辺りは寝静まった様子で私はただ一人、台所で片付けを終えたところだった。静寂がポンと肩を叩く。居間の明かりを消すと、自分の部屋のわずかに開いた扉から明かりが洩れて見える。この静けさが堪らない、それは昂ぶる心地でなければ、静澄な心地。私は安心して自室に入った。少しばかり読書を愉しむと、それから手に持っていた鉛筆を机に置いて、布団の上で横になる。暫く経って起き上がり、居間の電気を点けて椅子に腰掛け、また読書を始める気でいる。静寂がトンと肩を叩く。テーブルの上に急須があった、それから雑誌と、テレビのリモコンがある。そして、誕生日に買った本をひろげて一人で読む。夜は静かなjetéを愉しんでいる。人生を最初からやり直せるなら、自分の生き方はもっとよくなるだろう、というのは、なんだか可笑しい。思考の戯れなら、ここに幾らでも書く。良い夜には、それも好い。
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otonarikaminari
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