20170208

吊り鉢のフクシアがよく咲いた

夏の名残に生気を吸い取られもせず

嵐の恐怖に打ち克ち 恋の純情を背にして

華やかな大輪を歓びの心地でみせる

深いともない朝陽の移ろい

舞台女優さながらの見目形

煌めきは慎ましく 花は高貴に垂れる



風のような青年は

恋しさの影たつ小路に花を見つけた

一期の行方も分からぬままの闇路は

しがみつこうとした空を遠のかせ

彼の鮮やかな運命のめぐりを黒く滾らせた

それは夜だった

心あてに恋人の名を呼び

探りとった冷たい手を引き寄せる

彼女の姿を今やこの目で見ることができる

心の孔をやっと閉ざすことができる

まなざしの扉をおしひらけ

籠りがちな鳥たちを羽ばたかせよ!

ああ だけど窪んだ瞼の陰よ

何が彼の目を閉ざしたままにするのだろう

 

喧騒のなかの沈黙のように

心のなかのひときわに花は咲く

それは忠実なまなざしをもち

悲しみの雨風渦まくなかで明日の朝を待ち

怒りの雷鳴轟くなかで雲の奥をのぞむ

それは風に吹かれて去る朽葉のように

人をひとりぼっちにさせ

芽立つことのない花のように

人の心の在処を忘れさせもする

私は今朝、夢をみた 

が、みなかった


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