ところで私は思うのであるが、そして芸術家は独特であるという前提で話をするが、社会の中でみれば、真に独特な芸術家の中で無思慮な人間は天才以外にいないのではないだろうか。というのも、彼らはどうすれば善い作品が生まれるかについて考えるからである。いや、私は思うままにつくっているなどという人間の作品はなにをおいても目に見える。それは一見妙なものでありえても、やはりどこかで見たものでしかない。今まで見たことのない作品は、科学者が深遠な理論を生み出すのと同じように、実際のところ頭の中でしか生まれないのである。実際に偉大な芸術家は確たる思想を持っていたし、或いは新しい思想を待ち望んだ。真理はひとつであるから、それでは独特と言えないのではないかという不安はもはやない。誰も芸術の理想、すなわち唯一の真理に至ることはないのだから。芸術家はただ、理想に近づくだけなのである。それだから私はわざと陳腐な表現でいうが、芸術家は頭が良くなければならない、思慮深くなければならないと思う。
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