薄雲によせて
暑い涼しいの区別もつかない気怠さが、この五月のご挨拶さ。いつか惚れた音楽をとことん掘り下げて、別れ下手も調子に乗れば、ひねもす怠惰の体たらく、夜すがらの陶酔もあり、何処だって俺は幸せだと思う。お日さまよろしくにこやかなお仕着せがなんとなく日々を寄越し、喜楽極楽、兎角良い。生まれもった欠伸の長さが日の長さ。「都合悪いこと搔き消して、何も考えてなさそうでいいね」なんて皮肉をあなたは言ったけれど、なあ、たしかにそうだ。俺の頭の中は真っさらで、白の羽衣に青もみじはよく似合う。口をちょっぴり開いた程度の惚けた顔の、まともな褄はずれが人を笑かすらしい。愛でたい奴。恵まれた野才能、花の蜜、飛んで運ばれ青い空、懐かしい薄雲、道化の花を隠す日を待つ。もう少し午後を待てば、眠るといい。俺にも季節柄はあるみたいで、この頃は綿毛のような眠気が逸る。音素分解も適わぬ言葉の、なんでもない毒素が時として人の思念を宙にゆらゆら泳がせる。それも、どうってことはない。雨風、嵐も群舞のレペトワール。白鳥の優雅な踊りを眺めながら、こっちに来て、あれやこれやを考えよう。それは、この上ない仕合わせに違いないのだから。
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