20170925

美について

Ⅰ.

あなたはフランス文学の端くれ。咲いて散る麗しき花びら。決して根の深さを知ることのない、美しき人生。ぼくの目にした絵画に女性の川で小舟を漕ぐ姿があった。彼女から周りの風景が波紋のように広がって見える。イメージの波がしんと落ち着き、絵画は時をとめる。絵の中の女性をなにひとつ知ることなく、知る手立てもなかった。身体の均整や声音を知ることもないのに、ぼくはあなたをこの透明な美しさのなかにみとめてしまいました。あなたの手のきれいなことも、あなたの人生がいかなるものであるかも知らずに、ぼくの心は惚けてしまいました。でもきっとこれは現実なのかも知れません。ぼくにはどうしても今、つかんではなさぬものがないのです。


クロード・モネ『バラ色のボート』

0 件のコメント:

コメントを投稿