春夏秋冬の衣着よ、ほつれ乱れし笑み染めの、余情破れて音のなる。金蘭咲いて誰をか待つ、古めかしい砧の音が明けそびれた雫を落とした。来ぬ者に捧げる陽の光、新緑を深める花陰は、心地良い静寂に仄か香しい風を通せ。黄色い花の香り、木槌の叩く豊富みの地に継ぎ代わり、小川のような、ほころぶ糸が音を鳴らして結ぶのは、きらきらきらと輝く波の、琴線泳ぐ心の海。重ねてみれば貴方にも、広い海が見えるだろう。美しい海づら、燦燦と喜んで、彼方へ想いを馳せる、風走る、届いた言葉の煌めきを、天衣無縫の歌と云う。糸要らずの歌紡ぎ、ほころぶ笑みをとわに結べ。砧の音がいまだ鳴るなら、いっぱいの思いに織り込まれ、そうして伝えられなかった心の万朶を、風のように次第に、あまねく照らしだそう。
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