20160426

四月 花こよみ

白鶺鴒の飛び跳ねる朝を、眠たげな目でぼうっと眺める。夢見鳥の遺した姫萩の花、軽やかな名残惜しさの淡い影に、暮れなずむ四月の瞑目を知った。あの人の目の、記憶の窪みに深く溶け込む哀しさ。深淵に触れる情熱だけが、真実をあぶりだす、と或る大人は言った。風の心意気で新鮮な気持ちを懐き、卯の花曇に、変わらぬ長閑な情景とほんの少しの望みが目の前に映し出されるなら、まあ、大人になったのだろうか、分からない。小鳥の細やかに跳ねる様子、蝶々のたゆたう姿も、微笑むようなやさしさの、尊い水辺の在り処を教えてくれる。そこでは、心の中の花時計も安らぎを覚え、その微かな影で熟れた真実は、春の長雨に負けることはない、子の親へ寄り付くように甘く、愛おしい。でも、誰がそれを知るだろう。夢現のからくりを鉄の羽根もて飛び跳ねて、心ゆくまで未来を語った、あの人は、数日を残して、どこかへ消えてしまった。

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