20160424

第一夜

強烈な刺激だという。経験したことのない感動が私の指先にあると思えば、大きすぎて、鷹にさえ認識できぬ塔があるように、一気に呑み込むことの出来ない経験が私の背後へ過ぎ去った。私の身体は緊張から痙攣したが、その一刻の感触は決して忘れまい。言葉にできぬ先きの一夜が想念となって今では興奮を次々と起こしながら目紛しく渦巻く。それはあまりにも強烈な刺激だといって、嵐のあとの静けさのように、私は一人になって虚無に襲われてしまった。あれや研ぎ澄まされた吃りの声が青々しい空洞に響いて、それがいっそう寂寞たる孤独の影を濃厚にする。着実と進んでいた足取りの、思い通りにいかぬ様を私はじっと見るしかなかった。
それでも、目に見る人生の中に、歳を重ねる紫色の魅力がきっとあった。手を重ねることの、かけがえのない温もりが確かにあった。素晴らしい出逢いを得たのだ、冬にとけたものを春に再び結びなおすように、今は時うつろに漂う初心な言葉を、二十余年の風雨に鍛えられた時流外れの本質に呼び集めたい。
目に見えぬ人生の中に、私の進むべき道はある。理性が与えたのは二枚目の風貌でなければ、花染めの寝床でもない、心の拠り所と云うべき理念である。彼方の高嶺の、雲掛かり、美しい。かの巨大な感動を私はいずれ呑み込もう。きっと分かる、じっと見つめていよう、白花色の雲を。その間から、強き、やさしい光の射し込むのを。

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