20170226

私たちの番

絶妙な意味合いに拘って
表現の旗を掲げるのは誰でしょう
表現し得ぬ色合いに拘って
言葉が伝えるのは何でしょう
文芸の皆さん!
今度は私たちが問う番です
あなたたちが言葉を投げる代わりに
意味を放り投げ
詩人の意思を破いて消した
どこへ?
靴屋のおやじ?
ふざけるな!
あゝ ひねくれ屋め 泣き虫め
いつになったら意図と言葉が
互いに目合わせするだろう
いつになったらそれらは
互いに握手できるのだろう


20170223

初等の海洋
夜光が照り輝いて
あまねく過去を
抱いて潜め
角の欠けた定規が
普遍的な図形を
書くことなく
波より他の
音もなく
沈む

人は生まれつき知ることを欲する 理性を働かせ 想像を羽ばたかせ そして知を欲する 知を欲する者は学ばなければならない 知を欲する者が如何なる妄欲に囚われたとて、知を欲する者が如何なる失望に陥ったとて、変わることは何もない

野性の欲望に導かれた挙句
自らの本性を忘れてしまい
母なる海の腕に隠れて
あの太陽を臨むこともできない
そんなことがないように
沈んでしまったものも
陽気な空に誘われて
ぷかぷかと浮かび上がる

私は不幸が嫌いだ
私は幸せが好きだ
あなたは?
私は知を欲する
不幸も幸せも
さながら海を泳ぐ魚の鱗のように
透き通って見える


20170216

変化の最高潮

生活において、凡ゆる変化が疎ましいと思うことが私にはある。嘗て些細な変化さえ見逃すまいとして眼をぐるぐると廻転させた私を他方に思えば、両極を往来する私が得た居場所は確信に至り得るほど見晴らしの良い、人間の脆さと弱さが誘引の腕を引き延ばす森を越えたところの丘である。私は今や凡ゆる変化を拒む。なぜならそれを受け容れたならば、忽ち私は自身の脆さを露呈させるからである。私が此処で、自身のそれを人間一般の脆さに見立てるならば、それは許されることだろうか。日常なる変化に応じることもできず、発芽の叶わなかったものが嘗て如何ほどあったであろうか、と自身に問うてみよ。人間の脆さは一刻の変化にさえ滲み、時の流れるように馴染み、そして気付かぬうちに自身を太平なる海の最中へ漂わせる。如何なる者の消失も、如何なる者の邂逅も、全てが私を狂わせようとして、しかし私は決して狂いはしない。誰が死のうと消えようと、誰が私を呼ぼうと願おうと、私は向かうところの方角を決して忘れはしない。自身の脆さを知っているのではない、私は人間の強さを知っている。もう何も、変わる必要はない。私は常に厳密に直線に張った糸である。

20170208

吊り鉢のフクシアがよく咲いた

夏の名残に生気を吸い取られもせず

嵐の恐怖に打ち克ち 恋の純情を背にして

華やかな大輪を歓びの心地でみせる

深いともない朝陽の移ろい

舞台女優さながらの見目形

煌めきは慎ましく 花は高貴に垂れる



風のような青年は

恋しさの影たつ小路に花を見つけた

一期の行方も分からぬままの闇路は

しがみつこうとした空を遠のかせ

彼の鮮やかな運命のめぐりを黒く滾らせた

それは夜だった

心あてに恋人の名を呼び

探りとった冷たい手を引き寄せる

彼女の姿を今やこの目で見ることができる

心の孔をやっと閉ざすことができる

まなざしの扉をおしひらけ

籠りがちな鳥たちを羽ばたかせよ!

ああ だけど窪んだ瞼の陰よ

何が彼の目を閉ざしたままにするのだろう

 

喧騒のなかの沈黙のように

心のなかのひときわに花は咲く

それは忠実なまなざしをもち

悲しみの雨風渦まくなかで明日の朝を待ち

怒りの雷鳴轟くなかで雲の奥をのぞむ

それは風に吹かれて去る朽葉のように

人をひとりぼっちにさせ

芽立つことのない花のように

人の心の在処を忘れさせもする

私は今朝、夢をみた 

が、みなかった