20160623

動力

車が無言で走り去っていく。窓越しのベルトコンベアは不思議と静かに働いている。此処で私は赤い車を手に取って唇に付け、毒味をしたあと食道へ放るように落とす。そのあいだも次々と車は走り去っていく。テーブルの上の珈琲の薫りが私にひと息の余裕を与える。喫茶店の天井を見上げ、それからノートを開いて、私は決してベルトコンベアの奥向かう果てを想像しなかった。そうしないように気をつけた。ノートくらいの大きさの赤い味で満足しなければならなかった。そのくらいがちょうどよかった。あんまり過ぎると、それは不味いといって、いずれにせよさかしまの形で戻ってくる。それは、いただけないのだ。

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