20160616
海の声
海辺に居たのは私だったか、貴方だったか、満ち溢れた若さだったか、それとも物語りに欠かせない聞き手だったか。波にさらわれ、雨に打たれ、流木と共に巡った人生潜り抜けて、それは水だと説いた、万物の原理は氷の溶けた海の底にあると信じた。豊海の夢の触れる時が、一日の終わり。人世の夢路の旅の下準備、胃袋に蓄えたのを頼りに歩む、綺想な竜宮への道。読むにも分からぬ文字列が気泡のように漂って、触れたら消えるシャボン玉を、海豚は絶えず飛ばしている。蟹鋏が句読点を刻む。すてきな喫茶店を蛸が教えてくれたのに、鯨の迫力がそれを忘れさせた。此処が何処か分からぬとはいえ、魚たちがどうして助け舟を出すだろう。自ら浮き出すのも困難であれば、夢現の渦巻きがぐるりとあたまを捻らせる。竜宮の道は果てしない。流れに任せた白髪は瞬く間に伸びたらしい。海の流転に拐われて、短き夜の鳴き声が疾くと響き渡る。静む夜に、時の遍く澱むれば、天海の門開かれたる、と久しく言い伝えあり。
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otonarikaminari
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