ところで週末に映画館へ行った。福岡にはロマン・ポルノ以外の名画座がない。ミニシアターはのんびりとあるが、盛況していない。でも映画は好きなので、映画館があるなら映画を観に行こう、それが良い。今回は以前より興味のあった『追憶の森』という映画を観た。監督はガス・ヴァン・サントで、出演者に渡辺謙、舞台は富士の樹海、青木ヶ原。物語構成が抜群過ぎて、ぼくは観た後、嬉しかった。あまりに無慈悲な光景で恐ろしく、およそ大変な映画を観てしまったと最初のうちは思えたが、それがひっくり返っていつの間にか安心さえ覚えている、特に終盤の展開は見ているものを本当に心底から落ち着かせるだろう。それならば、樹海といって踏み込まないことはない、あなたもきっと、惹きこまれるよ。実際に樹海へ行きたいわけでないのだが、しかし流石はこの監督、自ずと彷徨ってしまいそうになるほど、森の情景が極めて美しい。同監督の『永遠のぼくたち』と似ているようでもあるが、もっと死に対する感触が増したと思える。煉獄と云えば、ダンテの「神曲」を連想するなどもあった。それと、能の印象がある。何より、とても良い映画だった、観に行って良かったと思う。
20160502
the see of trees
作業の為に購入した真新しいカッターで手の甲に一文字の傷を不意に付けてしまった。久しく見えた滲む血に、眠れる関心の応えがあった。変わりはしない、いつだって血は人を魅了する。子どもの頃だってそうだ、描いた絵にはいつも、血みどろの戦士がいた、醜悪な人間の姿もあった。だけどいつの頃だろう、やたらと噴き出る血は美しくなかった。傷から滲み出るものは花が咲くのに似ている。無関心ではいられず、できればずっと観ていたかったと思う。だけど、他人のそれはみたくない。それにしても、治癒が早い。これじゃあまるで、ボールペンで赤い線を描いたみたいだ。そういえば昔、ぼくを傷だらけにしたいと言った女性がいた。そんなの、痛いから嫌に決まっている。でもそのとき、いいですよ、と答えた。
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otonarikaminari
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